『・・・・・さあ、わたしは、あなたをパロにつかわして、わたしの民、イスラエルの人々
　　　　　をエジプトから導き出させよう」。モーセは神に言った、「わたしは、いったい何者
　　　　　でしょう。わたしがパロのところへ行って、イスラエルの人々をエジプトから導き出す
　　　　　のでしょうか」。神は言われた、「わたしは必ずあなたと共にいる。これが、わたしの
　　　　　あなたをつかわしたしるしである。あなたが民をエジプトから導き出したとき、あなた
　　　　　がたはこの山で神に仕えるであろう」。・・・・・』
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（出エジプト記　3章7～12節）


　 神がモーセを選ばれたのは母の胎内に形作られる前からでした。モーセは自分の人生に起こった
出来事を通して、神から与えられた使命があると自覚していましたが、直接神の声を聞いたのは80歳
になってからでした。彼が人生の中で経験した王宮や荒野での生活、彼の目に映り耳に届いてくる人
々の叫びは彼の心に届きますが、実際には自分の弱さや愚かさを思い知らされるばかりでした。しか
し神は、歳をとり無力で罪深い自分の姿を自覚したモーセに声をかけてくださったのです。神は民の悩
みを見、叫びを聞いていてくださっていました。それだけではなく、彼らの叫びが届いた時、神はモーセ
に自らを現して使命を与えてくださったのです。モーセにとっては驚きであり無謀な招きに思えましたが、
「わたしは必ずあなたと共にいる。」と約束を与え、自分の力ではなく、共にいてくださる神の力によって
救いがもたらせることを彼によってすべての人々に教えてくださったたのです。わたしたちはどうでしょう
か。神を知り、イエス・キリストの救いに与ったわたしたちが、この世の痛みを知り、役に立ちたいと願う
のは当然かもしれませんが、自分の思いや力だけではやがて行き詰まります。けれどもそこで神の招き
と、共に行ってくださる主の臨在を経験するとき、わたしたちは神からの新しい力に満たされて立ち上が
ることができるのです。新しい出発は新しいことや特別なことに挑戦することではなく、神を信じて主と共
なる一歩を踏み出すことなのです。いつでもどこからでも、神はわたしたちに新しい出発をさせてくださる
ことができるのです。

新しい出発　（出エジプト記　3章7～12節）

　2020年6月21日礼拝にて