『・・それからイエスは少し進んで行って、ひれ伏して祈られた。「わが父よ、
　　　　できることなら、この杯をわたしから過ぎ去らせてください。しかし、わたしの
　　　　望むようにではなく、あなたが望まれるままに、なさってください。」、それから、
　　　　イエスは弟子たちのところに戻って来て、彼らが眠っているのを見、ペテロに
　　　　言われた。「あなたがたはこのように、一時間でも、わたしとともに目を覚まし
　　　　ていられなかったのですか。誘惑に陥らないように、目を覚まして祈っていなさい。
　　　　霊は燃えていても肉は弱いのです。・・・・・』
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（マタイによる福音書　26章36～41節）


　イエス・キリストの十字架の苦しみは、わたしたちの希望の光です。その苦しみは、十字架にくぎで
打ちつけられた痛みではなく、自分が何を選ぶべきかを、たった一人で悩み抜かれたことでした。そ
れは、わたしたちがこの世で、身を裂かれるような苦しみの中、愛をもって導いてくださる神を見上げ
るしかない状況に置かれた時、ちょっぴりだけ理解できるものなのかもしれません。その祈りの時、
主は一緒にいた弟子たちに、「ここに座っていなさいと。」と言われ、次には「わたしと一緒に目を覚ま
していなさい。」と願われ、さらに「目を覚まして祈っていなさい。」と声をかけられました。しかし彼らは
眠ってしまっていたのです。わたしたちは今、主のそばに座っているでしょうか。主と一緒に目を覚ま
しているでしょうか。主の大きな御業を前にして、祈っているでしょうか。わたしたちが救いにあずかる
ために、主がどんなに大きな不安や孤独と戦われたかを思う時、どんなときにも主のそばをはなれず、
目を覚まして祈りつづけることの大切さを教えられます。しかし復活の主はわたしたちに やさしく呼び
かけてくださり、わたしたちの弱さを自覚させ、その弱さの中にこそ神の力強い御手が注がれていくこ
とを教えてくださるのです。主を見失なうことがあっても、何度でも主を見上げ、十字架の苦しみに勝利
された、主と共に歩むものとさせていただこうではありませんか。

主と共に歩む　（マタイによる福音書　26章36～41節）

　2021年3月21日礼拝にて