『・・・・・アブラハムが言った、『子よ、思い出すがよい。あなたは生前よいものを受け、
　　ラザロの方は悪いものを受けた。しかし今ここでは、彼は慰められ、あなたは苦しみ
　　もだえている。そればかりか、わたしたちとあなたがたとの間には大きな淵がおいて
　　あって、こちらからあなたがたの方へ渡ろうと思ってもできないし、そちらからわたし
　　たちの方へ越えて来ることもできない』。・・・・・アブラハムは言った、『もし彼らが
　　モーセと預言者とに耳を傾けないなら、死人の中からよみがえってくる者があっても、
　　彼らはその勧めを聞き入れはしないであろう』」。』
　　　　　　　　　　　　　（ルカによる福音書　16章19～31節）


　今日の聖書のテキストを一言でいえば、「わたしたちの見ている人生の勝利者が、本当の勝利者
ではない」ということです。わたしたちの多くはこの世の幸せや、この世での成功を夢見ます。あるい
は愛する人々との日常に、ささやかな幸せを感じている人々も少なくないと思います。しかし神はわ
たしたちに、わたしたちが知っている世界だけが全てではないことを教えています。すなわち、どんな
にわたしたちが自分たちの持っているルールに従って正しく生きていたとしても、やがて全てをつくり
支配しておられる神の前に立つ時がくることを教えているのです。わたしたちが人の前に確信を持つ
ことが出来ても、全てをつくり支配しておられる神の前に、また全てを知っておられる神の前に、あな
たは「自分は正しい」と胸をはって立つことができるでしょうか。けれども神はわたしたちを裁こうとさ
れているのではなく、わたしたちがいかに弱く無知であるかを教え、全てを知った上でわたしたちを
愛していることを教えてくださっているのです。それだけではなく、神に愛されていることを知ったわた
したちを、今度は赦しの器、愛の器として用いてくださるのです。ここにわたしたちが体験する、人生
の大きな大きな喜びがあるのです。今日の聖書を数行読んだときには、ラザロのようにはなりたくな
いと思っても、そのあと多くの人々は金持ちのようにはなりたくないと思うでしょう。大切なのは、今あ
なたがどのような生き方をしているかです。人がどのようにあなたを見、評価しているかではなく、わ
たしたちを生かすために、あの十字架にかかってまでわたしたちを愛してくだった神が、今もわたし
たちを愛し見ていてくださることを信じ、神の前に安心して立つことのできる生き方を選ぼうではあり
ませんか。

神の平安と永遠の滅び　（ルカによる福音書　16章19～31節）

　2019年9月15日礼拝にて