『自由を得させるために、キリストはわたしたちを解放して下さったのである。
　　だから、堅く立って、二度と奴隷のくびきにつながれてはならない。』
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（ガラテヤ人への手紙　5章1節）


　神がイエス・キリストを通して与えてくださった救いは、安心と希望です。それはどんな状況の中にあっても
変わることのない約束でもあります。パウロがイエス・キリストと出会ったとき、それまで経験したことのない
自由と喜びに満たされました。 それは彼が神を求め続けていただけでなく、自分自身の本当の姿を知り、
自分の内にある罪や弱さや認めることによって与えられた恵みでもありました。そんなパウロはイエス・キリ
ストを信じた人々が、自分の救われるまでの生活と知識とを根拠に、知らず知らずの間に人々を縛り付けて
しまっていることを指摘、しこの手紙を書きました。いろいろな背景を持って生きてきた人々が、それぞれの
経験や考えで｢キリストの救い」を理解することは当然ですが、それまで信仰深く生きてきた人々にとって、
ただ自分の罪を認め、イエス・キリスト十字架による罪の赦しを信じることによって、罪の赦しと永遠の命の
約束が与えられることを受け入れるのは、とても難しかったのです。パウロ自身もユダヤ人であるだけでなく、
旧約の律法に精通した学者であり、しかもその律法を忠実に行う熱心な信仰者でした。彼は彼自身の経験
によって、律法を守り行うことによっては本当の平安は与えられないことを理解していました。すなわち、全て
の人は神の前に罪人であり、自分の力によっては決して神の前に立つ事ができないことを知っていたのです。
しかし神はイエス・キリストによってわたしたちの罪を赦し、神の子としてくださるのです。イエス・キリストは、わ
たしたちに自由を与えるためにこの世に来てくださったのに、いつの間にか救われるための新たな戒めを自分
たちで作り出してしまうとは、どういうことなのでしょう。わたしたちは神がイエス・キリストを通して与えてくださっ
た救いを、自分勝手な理解によって無にしてはいけないのです。むしろ神がイエス・キリストの十字架によって
与えてくださった救いをそのまま信じ、たとい自分の中に罪や弱さを認めたとしても、その罪のためにイエス・
キリストが十字架に死んでよみがえったことを思い出し、神の深い愛に感謝すればいいのです。人の目を恐れ
たり、勝手に条件をつけて救いを遠ざけるのではなく、いつもそばにいてくださる主と共に歩もうではありませ
んか。

キリストによる自由　（ガラテヤ人への手紙　5章1節）

　2016年10月2日礼拝にて