『・・・おまえはもはや足りている。この事については、重ねてわたしに言ってはならない。
　　おまえはピスガの頂に登り、目をあげて西、北、南、東を望み見よ。おまえはこのヨルダンを
　　渡ることができないからである。しかし、おまえはヨシュアに命じ、 彼を励まし、彼を強くせよ。
　　彼はこの民に先立って渡って行き、彼らにおまえの見る地を継がせるであろう』。こうして
　　われわれはベテペオルに対する谷にとどまっていた。・・・』
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（申命記　3章23～29節）


　わたしたちの生きる世界は、神の作られたすべての物と、わたしたち一人一人の存在とその行動に
よって成り立っています。わたしたちがどんなに願ったとしても、自分の思いだけで物事が完結するわけ
ではなく、多くの見えない現実があることを忘れてはなりません。そのような中、神はわたしたちがかけが
えのない存在であることを教え、示して下さっています。モーセは神に選ばれ用いられた人でしたが、そ
の生涯は悩みと苦しみに溢れていました。ナイル川に流され、王宮で育ち、人を殺し、人々の目を怖れて
逃げ、そして80歳になって初めて神からの明確な語りかけを受けたのです。モーセはその後、40年にわた
ってイスラエルの人々を導き、自らの命を懸けて神の前に彼らを執り成していきました。その働きはとても
重く、責任のあるものでした。モーセは約束の地を心から望んでいましたが、『お前はもはや足りている』と、
神は彼が約束の地には入れないことを告げました。そして神は、『後継者として立てられたヨシュアを励ま
し、強くせよ!』と、もっと大切な使命を与えられたのです。わたしたちもそれぞれに深い願いを持っています
が、時に神はわたしたちにも、『お前は足りている』と示し、『続く人々を励まし強くしなさい』と教えてくださっ
ているのではないでしょうか。まず、わたしたち一人一人が主の恵みによって強くされていくことが必要です。
同時に、続く人々のために祈り、励まし、強めていくことは、わたしたちに与えられた大切な使命なのです。

彼を励まし、彼を強くせよ　（申命記　3章23～29節）

　2017年2月26日礼拝にて