十字架につけよ(マルコによる福音書 第15章1〜32節)
2006年4月9日礼拝にて
『ピラトは言った、『あの人は、いったい、どんな悪事をしたのか』、すると彼らは一そう激しく叫んで、
『十字架につけよ』と言った。』 (マルコによる福音書15章14節)
イエス・キリストは、一切を父なる神に委ねておられた。祭司長たちの思いも、長老、律法学者をはじめとするユダヤ
人の思い、そして、ピラトの考えも全てを知った上で、自分ではなく神の最善がなることを信じて、悩みと思い煩いを父な
る神に委ねられたのである。私たちは主の十字架を、遠い昔の出来事と思ってはいないだろうか。あなたが「私は決し
てあなたを離れません。あなたを十字架につけろと叫ぶなんて、とんでもないことです。」と思っていても、気がつけば、
信仰の試みを受けたとき、何をしているか分からないままに、イエス・キリストを捨て自分を守ろうとしてしまうのではな
いだろうか。ここで神が私たちに教えようとされていることは、「堅い信仰を持って失敗しないで頑張りなさい」ではなく、
「自分の弱さや、従いたくても恐れや不安があって従えないことを認めなさい」である。私達が自分の知恵や力に頼るこ
とをやめ、弱さを認めているからこそ、神に対する望みの信仰が与えられるのである。自分の力ではなく神の力によっ
て立つ経験こそ重要である。たとい、私達がイエス・キリストを捨ててしまったとしても、主は私たちを決して捨てず、そ
の十字架の約束により、本心に立ち返って信じる全ての人に永遠の命を与えて下さるのである。