『
…「私のたましいは主をあがめ、私の霊は私の救い主である神をたたえます。
この卑しいはしために 目を留めてくださったからです。…』
（ルカの福音書 1章45～55節）
御使いから、「聖霊が臨んで子が生まれる」（３５節）と御告げを受けたマリアは、エリサベツが男の子を宿していることを聞き、彼女のもとへ向かいました。マリアがエリサベツを訪ねたのは、御使いが言ったことが、事実であることを確認し、神がなさろうとしていることを、分かち合う意味があったと思われます。マリアは御告げを信じていました（４５節）が、偽の幻や勘違いではないことを確認し、事実として受け止めました。
婚約中のマリアが、他の人の子を身ごもることは、石打ちにされる出来事です（申命記２２：２３）。マリアが主のはしためとして御告げを受け入れたとき（３８節）、その危険性を理解していました。同時に、イザヤ書７章１４節にある、処女がみごもることがしるしとなる、インマヌエル預言の成就であることも認識していました。
マリアは主の御心がなることを、嫌々とか渋々ではなく、心から願っていました。ましてや、マリアの上には聖霊が臨んでいたのですから、主がすることに従うこと、受け入れることに、何の躊躇いもなく、平安と喜びがありました。
こうしてマリアが賛歌したのが、４６節からのマニフィカト(Magnificat)です。注意深く読むとその内容は、これから起こることとしてではなく、既に起こったこととして言っていることが分かります。最後に、アブラハムとその子孫へ約束していた祝福が、遂に実現するときが来たことを喜んでいます（５５節）。
イエスの母となることは、マリアにとって試練でもありました。しかし、主の御心とマリアの願いが一致したとき、マリアはそれを乗り越える力を得ただけでなく、そのことをしてくださった主を湛える喜びを得ました。
イエスの弟子たちや信仰の諸先輩が試練や困難を乗り越えたのは、マリアと同様に、主の御心が自分のものとなり、聖霊に満たされていたからでした。このことは、私たちが試練や困難に立ち向かうにも、必要なものなのです。これを求めることは、主の御心です。
