『
また、だれも、一杯の食物と引き替えに自分の長子の権利を売ったエサウのように、
淫らな者、俗悪な者にならないようにしなさい。』
（ヘブル人への手紙 12章16節）
イサク家に生まれた２人の子は成長しました。エサウの「巧みな狩人」という表現からは、神に反抗したニムロデ（１０：８）を想起させます。ヤコブの「穏やかな人」には、誠実や素直という意味が含まれています。エサウは野に出て行って個人で活動することを好み、ヤコブは社会の中で暮らす異なる性格となりました。
このイサク家に、骨肉の争いが起ります。ひとつは、 “長子の権利”について、もうひとつは、約束の子への“祝福”を巡ってです。今日の聖書箇所は、長子（長男）の権利についてですが、この権利は２倍の相続を受けると書かれています。
弟のヤコブは、２３節で契約の民として選ばれていることが示されていました。これは、“祝福”を受けることの約束です。しかし、“長子の権利”については、長子であるエサウにありました。ヤコブは、この“権利”を、疲れきっていたエサウから、煮物と引換に奪い取りました。ヤコブのこの行動には、嫌悪感を抱く人もいるでしょう。ヤコブが煮ている（調理）という言葉には、思い上がるや、意図的にという意味があり、この出来事は偶発的ではなく、故意に行ったことが示唆されています。
しかし聖書は、エサウが“長子の権利”を侮り、軽んじたことを責めています（ヘブル人への手紙１２：１６）。ですので、今日注目するべきなのは、エサウが侮った（３４節）ことです。エサウは“祝福”は受けられなくなっていましたが、主はエサウに“長子の権利”を用意していました。しかし、対価として見合わない、一杯の食物（煮物）と交換してしまいました。
エサウのこの行動は、すべての人への教訓になっています。主から与えられたものを軽んじ、放棄することは、信仰の有無に関わらず、良い結果になりません。また、“祝福”が約束されていたヤコブの行動は、信仰者に対しての教訓となっています。私たちは、与えられた祝福をもって、世界に神の恵みを伝えるはずなのに、それを侮って、この２人のように、肉の思いに支配されて私利私欲を行なってしまうことを示されます。昔から続くこの弱さのために、キリストは十字架に架かり、聖霊を通し、主に従う力を与えてくださったことに、感謝せずにはいられません。
