『議会で席についていた人たちは皆、ステパノに目を注いだが、彼の顔は、
　　　　　 ちょうど天使の顔のように見えた。』
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（使徒行伝　6章8～15節）


１．ステパノの人となり―　ステパノは、神の恵みに満ちていた人でした。ですから貧しいやもめたちの苦情を
聞いて配慮することができました。神の力が豊かに宿っている人だったので、苦しんでいる人々に不思議な技
を行うことができました。多くの人々が議論を吹きかけてきましたが、知恵と御霊に満ちていたのでステパノに
太刀打ちできませんでした。人からも神からも信頼と好感を持たれるような健全な信仰と人格を持ち合わせた
人でした。

２．心ゆがむ人々―　このようにステパノは、すぐれた人物でしたが、彼の話を素直に受けとめられない人々が
いました。ステパノと議論して、対抗できなかった人々は、ある人々をそそのかして偽証させるという行動を起こ
しています。さらに、民衆や長老たちや律法学者たちまでも扇動し、ステパノを襲って捕らえさせ、議会にひっぱ
るということをしました。そして、モーセと神とを汚す言葉を吐き、やめようとしないと偽証させるのです。聖所とモ
ーセの律法に逆らうことは、ユダヤの宗教裁判では死刑を意味していました。自分たちの立場を守るために、ど
んな手段も選ばない人々でした。

３．ステパノの顔―　不当な中傷を受けるならば、人はどんなに日頃穏やかであっても、激高するものです。人々
は、訴えられているステパノの顔に注目しました。このできごとに腹を立て、わめきたてることを期待していたかも
しれません。しかし、ステパノの顔は、全く違いました。平穏に満ちた顔でした。憎しみと偽りの訴えの中に囲まれ
ながら、彼の心は乱されなかったのです。それは、神に全信頼をし、お委ねしていたからです。彼の頭には、この
誤解をどうやって解こうかという思いや焦りはありませんでした。このできごとで、神は何をなされるのか、そのた
めに自分はどう用いられるのか、期待し、信じ、待ち望んでいる姿です。誤解や辱めによる怒り、屈辱的な思いが、
内なる火で焼きつくされ、きよめていただいているからこそ、神からの平安で満ち溢れていたことがわかります。

　中傷をうけて傷つくだけでなく、憤慨、怒りが溢れやすいものです。ステパノは無理やり我慢したのではなく、主の
手に任せて全く解放されていました。見せかけの穏やかさではなく、ステパノのごとく、内なる火できよめられて、明
け渡しきったゆえに与えられる真の平安をいただいて、耐えがたい困難をのりこえさせて頂きましょう。

内なる火に燃やされて　（使徒行伝　6章8～15節）

　2020年7月12日礼拝にて