『・・・・・彼らがイエスをひいてゆく途中、シモンというクレネ人が郊外から
　　　　　出てきたのを捕えて十字架を負わせ、それをになってイエスのあとから行かせた。・・・・・』
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（ルカによる福音書　21章26節）


　イエス･キリストが誕生されたとき、多くの人々はそのことを知らず、わずかな人々にそのことが
伝えられていただけでした。やがて公(おおやけ)の生涯に立たれた主は、選ばれた弟子たちと共
に父なる神を証しし、人の罪と神の赦しを告げ知らされました。やがて捕らえられ不当な裁判を受
けられた主が、むち打たれた後十字架に向かわれたとき、傷つき弱りきった主の替わりに、そこ
にいたクレネのシモンが主の十字架を背負うように命じられたのです。多くの人々と共にただ眺め
ていたクレネのシモンにとって、その十字架を背負って歩くことは屈辱であり、どんなに苦しく恥ず
かしかったことでしょう。わたしたちも、自分が置かれている現状を考えるとき、理解できず苦しむ
ことがありますし、人を責め、時には自分の行動や決断を後悔することもあります。けれども神が
わたしたちを愛し、わたしたちと共に働いてくださっていることを信じるとき、確かに神はわたした
ちを、かけがえのない使命の中に生かしてくださっていると知ることができるのです。主の十字架
の意味とその祝福を知ったとき、やがて主の前に彼が立ったとき、どんなに大きな喜びがそこに
あったことでしょう。全世界に福音が届けられていく過程で、わたしたちも神によって与えられた使
命に生かされていることを信じ、人に理解されずに馬鹿にされ、笑われることがあったとしても、主
の愛のみ手を信じて励もうではありませんか。

主の十字架を背負った人　（ルカによる福音書　23章26節）

　2019年11月17日礼拝にて