『先生、わたしたちは、あなたの語り教えられることが正しく、また、あなたは分け隔てを
　　なさらず、真理に基いて神の道を教えておられることを、承知しています。ところで、
　　カイザルに貢を納めてよいでしょうか、いけないでしょうか」。イエスは彼らの悪巧みを
　　見破って言われた、「デナリを見せなさい。それにあるのは、だれの肖像、だれの記号
　　なのか」。「カイザルのです」と、彼らが答えた。するとイエスは彼らに言われた、
　　「それなら、カイザルのものはカイザルに、神のものは神に返しなさい」。そこで彼らは、
　　民衆の前でイエスの言葉じりを捕えることができず、その答えに驚嘆して、黙ってしまった。』
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（ルカによる福音書　20章19～26節）


　イエス・キリストがどんなに正しいことを語られても、退けようとする人々はいろいろな方法で主を
陥れようとしました。すなわち、それまで民を治め支配していた人々にとっては、イエスがどんなに
力ある言葉を語り、力ある業を行っていたとしても、受け入れることのできない存在だったからです。
今日の場面では義人を装う回し者たちが、主を言葉のわなにかけようとします。すなわち支配者で
あるカイザルに、貢を納めてもよいかどうかを尋ねたのです。イエスは彼らの悪巧みを見破り、デ
ナリ硬貨に描かれた肖像を見せ、「これは誰の肖像、誰の記号か」と尋ね返し、「カイザルのものは
カイザルに、神のものは神に返しなさい」と言われます。わたしたちも気がつけば、神によって与え
られ生かされていることを忘れ、この世のものを人が所有し、全ての規範が自分たちのものである
と勘違いしてしまいます。しかしわたしたちは、神によって生かされ導かれているのです。すなわち
「神のものは神に返しなさい」という言葉は、わたしたち一人一人に今も問いかけられているのです。
現代に生きるわたしたちは、毎日世界中のいろいろな情報を耳にして生活しています。けれども本
当に大切なのは、神の声に耳を傾けそれに従うことなのです。

神のものは神に　（ルカによる福音書　20章19～26節）

　2019年10月20日礼拝にて