『・・・  「父よ、みこころならば、どうぞ、この杯をわたしから取りのけてください。しかし、
　　わたしの思いではなく、みこころが成るようにしてください。そのとき、御使が天から
　　あらわれてイエスを力づけた。」。・・・』
　　　　　　　　　　　　（ルカによる福音書　23章39～43節）


　いよいよ受難週に入りました。イエス･キリストの苦難と死があって初めて、わたしたちの救い、すなわち
何者にも奪われることのない自由と喜びがあるのです。ゲッセマネの祈りにおいて主のそばには弟子たち
がいました。その重圧によって直前の食事のとき弟子による裏切りをあかし、心の苦しみを少しでも軽くし
たいと願われても、弟子たちは自分たちのことに終始し、主の思いを理解し慰め励ますことはありませんで
した。当然弟子たちは主が捕らえられたとき、どうなるのかわからず、またどうしたらよいかわからず、一人
残らず逃げてしまいます。ある意味、人としての小さな希望も消えてしまうことになりますが、むしろ神はその
時まで共に歩んできた弟子たちによってではなく、天からの慰めを与えられたのです。これはわたしたちも
同じです。神は身近な人々を通してわたしたちに主にある交わりを与え、その働きを進めてくださいますが、
最後は人によってではなく天からの慰めと励ましによって導かれます。そして神だけを信頼する信仰に導い
た上で、続く人々の模範すなわち、慰めと励ましの器として用いてくださるのです。その土台が「わたしの思い
ではなく、みこころが成るように」という信仰告白なのです。わたしたちに必要なのは神に立てられた人に対す
る信頼ではなく、人を立てられる神に対する信頼なのです。これからもわたしたちを理解して、一人一人に声
をかけてくださる主を信頼し、主と共に歩むものとさせていただきましょう。

主と共に生きる　（ルカによる福音書　23章39～43節）

　2016年3月20日礼拝にて