イエス・キリストが集まって来た人々を教えておられたとき、律法学者やパリサイ人が姦
淫の場で捕まえられた女を連れてきた。これはイエスを試し「赦せ」といえば律法違反を指
摘し、「石で打て」といえば愛がないといい、語っていることと違うと攻めるためであった。イ
エスはしばらくは何も言わずにおられたが、やがて「あなた方の中で罪のないものが、まず
この女に石を投げつけるがよい。」と語られる。わたしたちは、いろいろな事を持ち出して
人の罪を裁こうとするが、自分自身の罪に対しては、それを隠し正当化しようとする。イエ
ス・キリストは、わたしたちの罪を暴いて責めるのではなく、それを知っているのに赦してく
ださる。それは神が、わたしたちが罪を犯し、裁かれて死ぬのではなく、罪を認め、赦され
て生きることを願っておられるからである。イエス・キリストは父なる神の心をその生涯を
通して現されたが、その心は「私もあなたを罰しない」である。わたしたちの罪を裁くことの
できる方が、わたしたちの罪の罰を負って下さったばかりか、すべての罪をその十字架の
犠牲によって赦してくださったのである。わたしたちは、罪を赦して下さった方が、罪に勝
利する力をも与えて下さると信じ、主に従って歩もうではないか。