『・・・十字架にかけられていた犯罪人の一人は、イエスをののしり、『おまえはキリスト
　　　　ではないか。自分とおれたちを救え』と言った。すると、もう一人が彼をたしなめて言った。
　　　　『おまえは神を恐れないのか。おまえも同じ刑罰を受けているではないか。おれたちは、
　　　　自分のしたことの報いを受けているのだから当たり前だ。だがこの方は、悪いことを何も
　　　　していない。』 そして言った。『イエス様。あなたが御国に入られるときには、私を思い出し
　　　　てください。』 イエスは彼に言われた。『まことに、あなたに言います。あなたは今日、わたし
　　　　とともにパラダイスにいます。』・・・・』
　　　　　　　　　　　　　　　　　（ルカの福音書　23章33～49節）


　いよいよ今週は受難週となります。イエスが苦しみを受けて十字架に架かり復活する。このことは、十字架を
シンボルとするキリスト教の根幹の部分になります。イエスは捉えられ調べられ、金曜日に十字架に架かり、亡
くなります。十字架上での出来事は前半と後半の３時間ずつに分けて見ることができます。

　前半は午前中の出来事で、イエスは人に裏切られても、十字架の上でとなりしを続けます。後半は昼１２時か
らの出来事で、父なる神と断絶した苦しみの時間でした。しかし、その関係は回復し、ささげ物となることで、神
と人との間にあった隔てを取り去りました。

　わたしたちはお互いに、悪意なき人に裏切られ傷つけられ、人生が変わる事があります。悪意ある人からの
影響はなおさらです。そして、その苦しみを理解してもらえない事が度々あります。そのような中で、誤った選択
を繰り返したのが、イエスと共に十字架に架かった人たちです。イエスに話しかける罪人は、世から見捨てられ、
最後の苦しみである死を待つばかりでした。しかし、イエスは見捨てず、彼によりそい、パライダイスに入ること
を約束します。

イエスは真に私の苦しみを知り、私の罪を知っても見捨てず、よりそって下さる方です。そればかりか、私たちの
身代わりなって下さいました。そして、傷の無い完全なささげ物として、父なる神にご自身を献げたとき、神との隔
てが取り除かれ、私たちは聖霊を受けています。この聖霊により、私たちはいつも神と共に歩み、理解され、とり
なされ、回復を受け続ける者となっているのです。

十字架の逆転　（ルカの福音書　23章33～49節）

　2022年4月10日礼拝にて